だらけるこむのたんぶら

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hangorin
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ある体験記~生活に侵入するオリンピック

この夏、オリンピック1年前ということで各地でテストイベントが開催されており、中には大規模な交通規制を行うものもあった。ある仲間が、そのオリンピックのための交通規制に遭遇したときの体験を語ってくれた。

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7月21日は、夜勤明け、さわやかな朝。うち目指して自転車こぐ。

なぜか道のわきに、びっしりと、青グレーの大きな車両が止まっている。

澄んだ光が、どす暗くよどんでいる。デモでもあるのかな、と、公園の入口に来た。この中の道を通ると、近くて気持ちいいのだ。

ところが「今日は入れないんですよお」と、おじさんに言われた。

「え~!!」公園なのに、なんで?と思った。でも、一般のいい人っぽく見える人だったので、面倒なことは避け、おとなしく従った。

お昼になって、朝のことは忘れてしまい、再び自転車で外出した。さっき通った道の車道が柵で封鎖されていた。歩道を自転車をひいて歩いたが、他の歩行者に悪いなと感じるほど狭かった。車道には誰もいないし誰も来る気配がないので、柵のすき間から、ちょっとだけ車道に出てみた。すぐに「ピピーーーッ!!」と笛が鳴って、警官に止められた。

「規制してますので!」

私は、なんでか知りたくて

「何の規制ですか?」と、警官のところに行って訊いた。警官のいる場所は、警官がそこに居るくらいだから、私もいて問題ない場所だと思った。

「オリンピック1年前イベントのロードレースなんで。」

と言われた。なんか、オリンピックとか言って、一方的にこういうことされちゃうんだ、と不満を抱きつつ、口ごもっていると

「おい!!早くどけ!どけって言ってんだよ!邪魔だってんだよ!」

「だあ~かあ~らあ~!!オリンピックなんだから!あたりめえだろ!!」

と、近くにいた、一般の、スポーティな日焼けのおじさんに怒鳴られた。その人は、周囲の人々ばかりでなく、もっと大きなものを後ろだてにしているかのように強気で、バカな非国民をこらこらしめるつもりか、えらそうに私をバカ扱いし、私が女だからかもしれないが、迷いなく攻撃的だった。

私はなぐられたらどうしよう、群衆にボコボコにされたらどうしようと、とてもこわくなって、その場を去った。

あんな、クソみたいなカスみたいなやつほっとけ、忘れろ、と自分に言いきかせたが、心臓がバクバクして叫びだしたいくらいだった。この体験を、体から振り落とし、頭から振り払いたくて、頭をグルグルグルグル激しく振った。自転車がよろよろした。

日本に居るのは危険だと感じた。

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youkoseki

なぜ神戸は最高なのだろう

youkoseki

大学の先輩であるところのphaさんが、京都についての素晴らしい文章を書いていた。

とはいえ正直に言うと、私はあんまり京都が好きではない。大学生として、大学院生として、七年もの多感な時期を過ごして、街の各所にさまざまな思い出があるはずなのだけれども、京都と聞いていつも思い浮かぶのは、夏死ぬほど暑かったこと、冬死ぬほど寒かったこと、市バスに煽られながら自転車を走らせたこと、夜の河原町をヤンキーがたむろしていたこと、そういうことばかりなのだ。

私は神戸で生まれて、大学に入るまで神戸のニュータウンで育った。卒業してからは東京で生活をしている。他の街はあまり知らないけれども、自分の中で最高の街はいつも神戸だ。まあ、生まれ故郷が一番という人は多いだろう。しかし神戸人は特にその傾向が強い気がする。

phaさんが書くとおり、首都圏は鉄道網が発達していて、京都は自転車でどこでも行けた。他方、神戸は徒歩の街だ。買物となれば、三宮から元町、神戸ハーバーランドまで途切れなく歩けてしまう。アーケードと地下街が発達しているので、雨でも雪でもほとんど関係ない。私は神戸を離れて、雨の日ってこんなに憂鬱なんだなと初めて知った。

神戸は狭くて、濃密だ。ちょっと歩くだけで、色々な発見がある。東京だと「隠れ家みたいなお店」がもてはやされるけれど、神戸はそんな店ばかり。センター街から一本外れただけ、あるいはアーケードの二階に上がっただけで、小さくて居心地の良い店がいくらでも見つかる。

北は山、南は海に挟まれているから、今日はどこを歩こうかなんて悩む必要はない。東から西へ歩いて、適当なところで西から東に戻ればいいのだ。神戸人は日本で一番よく歩くという話がどこかにあった。

神戸は港町であり、貿易の街であったので、つまり食の街である。中華、イタリアン、フレンチ、なんでもある。そして、どこもリーズナブルだ。神戸では、おしゃれだけど高すぎる店は、だいたいすぐに潰れる。美味しくない店はもっとすぐに潰れる。京都のように観光客が多くないので、地元民に見切られるのが早いのだろう(関係ない話だが、東京に来て驚いたのが「神戸に行ったことがない」という人がたくさんいる事実である)。京都が見栄の街、大阪がケチの街なのだとしたら、神戸はコスト意識の街なのではないか。

今はもうなくなってしまったけど、私は三宮の高架下にあったイタリアンで、電車が走る音を聞きながらスパゲティを食べるのが大好きだった。お洒落な店内、リーズナブルなスパゲティ、ゴトゴトと揺れるテーブル。デートに向いているのか向いていないのか分からないけど、この雑多なバランス感覚が神戸だと思う。

有馬温泉に行ってもいい。王子動物園に行ってもいい。須磨水族館に行ってもいい。ハーバーランドに行ってもいい。布引の滝からロープウェイでハーブ園に行ってもいい。六甲山を歩いてケーブルカーに乗ったり、牧場に行ったりしてもいい。新幹線とJRとたくさんの私鉄と地下鉄と新交通システムとケーブルカーとロープウェイがある街が、他にどこがあるだろう。素晴らしいサッカー場もある。ブルーウェーブはいなくなってしまったけど、野球場もある。モスクや異人館を見てもいい。ポートアイランドに行ってもいい。六甲アイランドにはなにもない。

こうして書いてみると、神戸人が神戸に満足してしまう理由が分かる。神戸はミニチュアの都市のようで、なんでも揃っている。欲張りな人が作ったシムシティのようだ。神戸と比較すると、他の街はなにかに欠けている(たとえば京都には海がない)。

そんな私が、唯一アイデンティティ喪失の危機を感じたのが横浜だ。横浜駅界隈は三宮より少し発展していて、桜木町は元町より少し充実しており、みなとみらいはハーバーランドより少し活気があって、中華街は横浜の方が多少広く、新横浜は新神戸に比べて……でも、でも、神戸のコンパクトさはやはり何物にも変えがたい。それに、どうしても大きな街に行きたいのなら、大阪までJRで20分なのだ。そうすればヨドバシカメラもある。

東京の住みたい街ランキングを見ると、吉祥寺とか、自由が丘とか、武蔵小杉とか、二子玉川とか、そういう場所が挙がる。気持ちは分かる。それはつまり、都会であって都会すぎない、なんでもだいたい揃うけどオリジナリティもある、東京の中の地方都市なのだ。

そう考えると、神戸は正真正銘の地方都市だ。なんでも揃う神戸人が他の街を評価すると、自然と「この街は神戸みたいかどうか」が基準になる。たとえば私がサンフランシスコに初めて行った時に思ったのは「ここは神戸みたいだな、物価は高くて変な人がいっぱい歩いているけど」だった。つまり神戸は神戸みたいな都市の中ではもちろん最高の神戸で、だからこそ最高なのだ。